変化の中で生き抜くために必要な、たった一つのスキル

I&CO
6 min readApr 27, 2020

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人生において唯一変わらないことがあるとすれば「変化」ではないでしょうか。

私はこれまで4つの国に住み、8つの学校に通い、10軒の家に住んできました。その全てが今日の自分を形成していますが、安定した人間関係や日常生活といった心地よい環境を離れた経験から、「変化」に適応する難しさを学びました。ましてその変化が急だったり、コントロールできない状況だったりしたらなおさらです。

変化のない生活は快適で安心です。実績があり、やり方が決まっていて、自分がどうすればいいかに迷うことがない。しかしそれ以上に普遍的で確実なやり方があります。それは「適応するスキル」です。

「AQ(Adaptability Quotient)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。知能指数(IQ)や感情指数(EQ)はよく知られていますが、AQは、変化に対してどれくらい反応できるかを理論的にみる指標です。IQとEQが仕事の成功に役立つとしたら、AQは、今後より長期的な成功に寄与すると言われています。

AQが高い人々の特徴は、自ら進んで未知のものと関わり、変化の影響を受けるのではなくむしろ影響を与える点にあります。そしてこのAQは、意欲さえあれば習得できるスキルなのです。

ここでは、その習得の方法をご紹介します:

学び直す(Relearn)

これは、思考の癖を「両きき」にすることを目指すようなアプローチです。そのためには、無意識に蓄積された知識に引っ張られることなく、新たに物の見方や捉え方を構築する必要があります。一度学習したことを忘れるというよりは、オープンマインドで考えると言った方がいいかもしれません。

例えばアメリカの老舗クレヨンメーカー Crayola は1950年代に、商品ラインナップとして「フレッシュ(肉=淡いピンク)」という色を販売していました。根底には当時の北米社会における人種差別思想がありましたが、1962年には、その淡いピンク色は「ピーチ」という名前に変わりました。「肉」という意味をもつ言葉で一つの色を表すことに疑問をもち、オープンマインドで考え直した良い例です。

(Photo Courtesy of Ed Welter)

ここでのポイントは次の3つです:

  • 考え方の凝り固まった部分に気づく
  • 新しい考え方を見つける
  • その考え方を実践し、習慣にする

いわば「脳が学習する仕組み」ともいえるこのプロセスは、専門用語で神経可塑性と呼ばれています。困難な状況に直面しても脳が反応を調整し、さまざまな視点から物事を見たり理解したりできるようになる力を、人間はもともと備えているのです。

見直す(Reevaluate)

これは、自ら変化を求める姿勢によって、変化をコントロールするというアプローチです。

普通は、何か変わったことが起こってはじめてその問題に対応すると思います。しかし常に現状を見直す、つまり能動的に「何か変化は起こっていないか?」を探し続けていれば、変化がもたらす脅威や困難はぐっと小さなものになるはずです。

動画ストリーミングサービスのブロックバスターやモバイル通信機器メーカーのブラックベリーは、こうした姿勢をとることができずにビジネスの方向性を見誤った典型的な例でしょう。一方、NetflixやAppleは変化に適応してビジネスモデルをピボットし、革新を続けています。自ら変化を模索し続けたいという思いは、Netflixの「See what’s next」やAppleの「Think different」といったビジネスステートメントからも伝わってきます。

(Gif Courtesy of Brand New)

現状を見直す際には、積極的に観察し、傾聴し、関わりをもつことによって、十分に時間をかけて置かれた環境を理解しましょう。また、あなた自身のコアバリューや譲れないものをしっかりと認識してください。そうすれば、自分の仕事や人生の中で付加価値となるものは何かを、大局的に考えることができます。

ここでのポイントは次の3つです:

  • あなたの置かれた環境を知る
  • 自分の価値観を知る
  • 軌道修正の方法を探る

言い換える(Rephrase)

人生は予測できないものだからこそ、他の人が失敗だと考えるようなところにチャンスを見出すことがとても重要です。問題を積極的に解決し、失敗した試みから学ぶことにフォーカスしましょう。

そのためには、目の前にある問題を言い換えてみることが有効です。

  • 「本当に難しい」は「どうすれば楽になるのかな?」に、
  • 「私にはできない」は「何か違うことができたかな?」に、
  • 「うまくいかなかった」は「これをやってみたらどうだろう?」に。

ゴールドマン・サックスのナタリー・フラット氏は、過去や現在の問題点に目を向けるのではなく、未来に焦点をあて「もしも(What if)」を問うことを大切にしているといいます。この質問はまた、明確な答えを引き出すことにも役立ちます。

(Photo Courtesy of The Space Center)

飛行機を発明したライト兄弟の「もしも人間が空を飛べるとしたら?」という質問も、当時はバカげたものと思われていたでしょう。しかし彼らの好奇心と決意、そして多くの失敗からの学びが、空を飛ぶという夢を実現しました。

さいごに

成功している人々というのは、必ずしも一つのことをうまくこなす能力がずば抜けているわけではありません。彼らは、新しい環境や変化の中で進化し、回復し、軌道修正するスキルによって成果を出しているのです。

環境の変化はコントロールできませんが、成長するかしないかはあなた自身の選択です。あなた自身が成長することによって、コントロールできない変化との関係もまた、変化していくでしょう。

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